グリーフ(悲嘆)ケア 高木慶子さん

※昨日、朝日新聞にグリーフ(悲嘆)ケア研究所長の高木慶子さん(74)の「あなたの心の声を」という記事が載っていました。 実際の災害された方に関わっていくことも難しさ、大切さを教えられました。
 
「阪神大震災の時、ベッドから振り落とされ、気づけば戸棚がベッド上に倒れていた。私は生かされた。
でも血のにじんだ毛布にくるまれたいくつもの遺体、生き埋めになった親を泣いて呼ぶ子を目の当たりにし、生きていることに罪の意識を感じました。
 身をそがれるようなつらさから逃れるように避難所を回り、家族や自宅を失った方の話を聞くことを始めました。そのとき初めて会った方と「お互い生きてたのね」と抱き合い涙したことで、初めて生きることを肯定できたのです。
 人は悲嘆とどう向き合うべきか。 JR宝塚線の脱線事故をきっかけに研究所も立ち上げた。 そんな私から「生かされた皆様」へ、これだけは伝えたいのです。  あなた自身の心身の叫びをしっかり聞いて。痛い、寒い、食べたい、悲しい、怖い、腹立たしい……。 そして、その苦しみは1人では乗り越えられないことを分かってくださいね。 私たちはあなた方を決して忘れていませんから。」

 「被害に遭われた方は、これまでパニックの状態だったと思います。ようやく今、『自分はこんなに大変な被害を受けた』と実感されるのではないでしょうか。家族を失った方、家を失った方、両方を失った方など、被害の個人差も見えてくる。不安と恐怖が限界に達する。こんなとき、決して独りぼっちにしてはだめです。不安と恐怖の中にいるとき、一人では耐えられません。だれかがともにいてほしいのです」

 「JRの事故のような人為的災害は、加害者が存在するので複雑な悲嘆状態が長引きます。自然災害は怒りをぶつける相手がいない。だから自責の念が非常に強く出て、『あんなところに家を建てなければよかった』など、理由にならないことでも自分を責めてしまう」

 「被災地の方の状況をよく分かっていただきたい。そして、いたわりの心で接してください。アドバイスやお説教はだめです。相手を尊敬する立場が大切です」

 「私は、阪神大震災でお子さんと死別された34人のお母さまからお話を聞かせていただきました。その際、周囲から言われたくなかったこととして、『早く忘れてね』『(震災後に生まれた子供は)亡くなった子の生まれ変わり』などの言葉が挙げられていました。励ますつもりで話した言葉が、結果的に相手を傷つけているのです」

 「こちらの満足のために『聞きたいことを聞く。言いたいことを言う』のではなく、相手の世界に入り込んでほしいと思います。相手のエネルギーに共鳴させながら聞いてほしい。でも、言葉をかけるとき、マニュアルはないのです。その人の状況に寄り添えばいいのです」

 
 「この大災害から私たちは、どういったメッセージを受け取るのか、何を学ぶべきか。耳を澄まして聞くことです。私たちは、たくさんのものを被災地の方々からいただいています。非常に辛(つら)い状況でも生きるという姿もその一つです。そこから学び、実生活に生かしていくのです。そして、義援金や物資を集めることなど、できる範囲のことをやってみましょう」

ジブリの宮崎駿さんのメッセージから

「残念なことに、私たちの文明はこの試練に耐えられない。これからどんな文明を作っていくのか、模索を始めなければならない」と語る一方で、「僕たちの島は繰り返し地震と台風と津波に襲われてきた。しかし、豊かな自然に恵まれている。多くの困難や苦しみがあっても、より美しい島にしていく努力をするかいがあると思っている。今、あまりりっぱなことを言いたくはないが、僕たちは絶望する必要はない」



今回の災害は、一過性の災害と位置づけるには余りにも規模が大きく、また原発を含め長期にわたるように思います。宮崎さんの言うように「残念なことに私たちの文明はこの試練に耐えられない」と思います。
新たな支えと新たな文明を作っていく程の決意が必要になると思います。



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